日別アーカイブ: 2017年10月25日

鹿苑第1号

樹源寺 法話箋鹿苑第一号

二〇一六年 春夏

樹源寺副住職 日比宣仁(せんじん)

  • ごあいさつ

いつも、お檀家の皆さまには大変お世話になっております。ご先祖さまや、樹源寺の仏さま、諸天善神へお参りにいらっしゃる皆さまの姿を拝見する度に、心が引き締まり、さらなる精進を致したいと誓願を立てている日々でございます。

さて、先代住職(日比宣正)が初めて法話箋を発行させていただいたのは、昭和四十五年(一九六〇年)のことです。先代は、仏さまの教えを皆さまにお伝えしつつ、樹源寺の主な年中行事(年始・春と秋の彼岸・お盆)のご案内をいたしたいという意向から、この法話箋を初めたそうです。今では、現住職(日比宣俊)が法話箋を引き継ぎ、今年も既に第一九一号を執筆したところでございます。この法話箋は先代の意向どおり、皆さまのお陰さまをもって、今でもお檀家の皆さまに仏さまの教えをお伝えし、樹源寺の年中行事のご案内をし続けることができていると言えるでしょう。そして、私もいつかはこの法話箋を引き継ぎ、絶やしてはならないと考えております。しかし、いきなり法話箋を引き継いで、年中行事のご案内はともかく、仏さまの教えを文章に書き起こすことは、中々取り組みにくいことでしょう。

そこで、この度、『樹源寺 法話箋鹿苑』という名前で、仏さまの教えを文章にする訓練として、毎年二回(上半期・下半期)お便りを発行させていただき、樹源寺大玄関の横に置かせていただくことに致しました。

つたない文章ではありますが、どうか皆さまのお目に、このお便りをかけさせていただき、ご指導、ご意見をいただければ、幸いであります。

 

  • 鹿苑について

さて、既に申しましたが、このお便りは『樹源寺 法話箋鹿苑』という名称にいたしました。この鹿苑という言葉は、インド北部、ガンジス河中流に位置するバラナシという都市近郊にあるマルガダーバという園の名前を漢字に意訳したものです。名前に鹿という語があるということは、鹿苑には鹿が沢山いたのでしょう。お釈迦さまは、菩提樹の木の下で悟りを開かれた後、この鹿苑において、お弟子さんに対して自らの悟りの内容を初めて説かれました。この出来事を初転法輪(しょてんぼうりん)と申します。「初めて法輪を転ずる」という意味です。「法輪を転ずる」とは、仏さまの教えを説くことを言います。仏教の歴史は、お釈迦さまによる、この「教えを説く」という行動から始まったと言えるでしょう。

仏さまの教えがいくら沢山あり、素晴らしいものでも、それを人々にお伝えしなければ全く意味がありません。私は、このことを心に留め、法輪を転じ続け、樹源寺の境内に仏さまの教えが遍満し、お檀家を始め、樹源寺に参詣される方、また、樹源寺にご縁がある方々のお役に、少しでも立たせていただきたいという願いを込めて、「鹿苑」という言葉をこのお便りの名称に入れさせていただきました。

我此土安穏 天人常充満

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

妙秀山樹源寺 副住職

日比宣仁

慈翔院日仁